エンジニア4年目、2回目の転職活動記録

September 24th, 2021

TLDR: 8ヶ月に及ぶ転職活動で6社からオファーもらった末、11月からオンラインワークショップツールButterで働きます!転職活動するときは、どういう働き方をしてきてどういう会社で働きたいかストーリーを作り、それに合う会社を受けること、給料の最低ラインを決め、早めに確認してそれ以下なら辞退するべき

エンジニアとして一つの会社で長く働いてみたいと思っていたので、Sqreenには4年以上いられたら良いなと思って入社した。同僚は今後もずっと友達でいたいと思える大好きな友達になったし、作っているプロダクトは好きで将来性もあると思っていたけど、エンジニアリングチームのdiversityがなく、ブランディングだけが上手くいって実態は掛け離れていることにうんざりしていたのが2021年1月。

そんな頃に「私以上にこの会社にぴったりなエンジニアいないのでは?」と思える会社を見つけて、フロントエンドは採用していなかったけど、いつか必要になったときに検討してもらえたらなと思って連絡してみたところ、なぜこのプロダクトを作っているのか理解してくれるフロントエンドエンジニアがいれば採用したいと思っていたと言われ超舞い上がる。色々なトライアルを経て、「採用したいと思っているのでこれからどういう選択肢があるのか調べよう」と口頭でオファーをもらえた。私が辞めることがきっかけになってみんながもっとdiversity & inclusionについて真剣に考えてくれればいいなと思いながらリモートでの働き方について調べていたら、突然Sqreenが買収されることが発表される。まじで誰も予想していなかったのでみんなで超ショックを受けた。買収が発表されてから一週間は仕事をしなくていいから好きなだけ話し合うように言われ、毎日同僚とgoûterしに行ったりzoomであれこれ話したりしたけど、私はもう辞めると思っていたので、みんなこれから頑張ってくれという気持ちだった。

が、その後にあれこれあって上手くいかず(本当にあれこれあった)、この会社には行かないことになった。そんなにすぐ採用してもらえると思わなかったから全然調べずに連絡してしまったけど、リモートで非フランス企業に雇ってもらうのはハードルが高い。

フランスは労働者の権利が超守られている国で、失業手当なども手厚いけど、それは従業員だけでなく会社側も雇用するのに多額のsocial contribution (社会保障費?)を払っているからで、他の国よりかなり高い。またフランスはアメリカのように簡単に解雇できないし、解雇されたらラッキーだと思えるくらいに解雇された側はお金がもらえるし、休暇もRTTと合わせると35日くらいもらえる。フランスでビジネスをやっている会社以外はRemoteなどEOR(Employer of Record)を使うのが基本になると思うけど、その費用も勿論上乗せに。フランスのエンジニアの給料自体はアメリカなどに比べれば低いけど、そうやって足していくと最終的に会社側が払うのは結構な額になる。

個人事業主になってフリーランスとして採用される道もあるけど、フランスで個人事業主でやっていくのはフランス人でも面倒臭いと周りに言われ、フランス語が底辺の私には無理だなと思った。Auto entrepreneurという簡単に事業を始められる仕組みもあるけど、職種によって収入の上限が決まっていてエンジニアだと収入が70Kまで、雇用主が払わない税金はこっちが払うことになるし、その金額には全然収まらない。ビザも就労ビザからパートナーシップビザに切り替えなければならず、また実際に罰せられることはないと複数人から聞いたけど、フリーランスでやるなら複数のクライアントを持つ必要があり、いくら大丈夫と言われても外国人として違法なことはしたくないので、このオプションは選びたくなかった。

French techのD&Iは5年くらい遅れているのでフランス企業ではもう働きたくなかったけど、リモートで正社員として採用してもらうのは難しそうだし、買収による入社なので通常ではありえないレベルの魅力的なパッケージをもらったので、我慢して働いてスキルアップして、一年分の株をもらったら辞めようかな?などと考えていた。

と思って入社した私に待っていたのがハラスメントである。全然関係のない、誰なのかも今だによくわからない男性エンジニアから無視してるのにどうでもいいメッセージが来続けたり、それも無視してるのにSlackでご親切に私をあちこちのチャンネルに招待してくれたり、それも無視して退出したりしているのにLinkedInでリクエストがきたりした。大したことじゃないと自分に言い聞かせしようとしたけど本当に気持ち悪くて、同僚にそれはハラスメントだから絶対に報告した方がいいと言われ、とりあえずマネージャーに相談してみたらものすごく真剣に受け止めてHRに報告してくれて、会社はきちんと対応してくれた。だけどこの程度のハラスメントで相手がクビになるわけがなく、この人に会いたくなさすぎてオフィスが再開しても行く気にはなれなかった。またエンジニアリングチームは本当に白人男性だらけでdiversityのなさも嫌だったし、Sqreenは小さかったから変えられると思って頑張ってきたけど、今度は規模が違いすぎて希望が持てなかったし、仕事の面でもスタートアップの後だと大企業は何もかもが遅く感じられ、フロントエンドも全部が用意されていて面白くなくて、やっぱり転職しようと決意する。

こういう経緯で辞めることにしたので、安心安全だと思える職場であることが本当に重要で、diversity & inlucsionの重要性について真剣に考えている会社で働きたいし、男性エンジニアしかいない会社では働きたくない。この時点で既にものすごく難しいのに、さらに社会にとって意味のあるプロダクトを作っている会社で、スタートアップでフランスにいる私をリモートで正社員として雇ってくれる条件で探すと、もう全然なかったので、絶対辞めると決めてから納得できるオファーをもらえるまでに5ヶ月掛かった。

2社目のオファーは、CEOから直接LinkedInでメッセージが来て、私の日本語のブログまでGoogle翻訳かけて読んでくれて、私のD&Iへの取り組みも評価してくれた上で、ぜひうちに来てほしいという熱い内容だったフランスのスタートアップから。超感動したし、これだけ必要としてくれているんだから、プロダクトにものすごく興味があったわけじゃないけど、ビジネスにはポテンシャルがありそうだしオファーをもらったら受けようと思っていた。が、いざパッケージの話をするとレンジがびっくりするくらい低くて、ジュニアレベルの給料に将来会社が大きくなるから超価値があるという0.25%のequity、または0%のequityに今より低い給料で(意味ない)、交渉してみるも交渉上手な人が得をしないためのsalary gridだから無理と言われ、さすがに受け入れられないので断った。

3社目のオファーは、完全リモートのスタートアップで、CEOと話した感じは良い感じだったけどCTOと話した感じ微妙で、技術テストもなくたった2回の面接であっという間にオファーをもらったけど、上記と同じようなオファーだったので断った。最初からいくら貰えるかの話をして、希望の条件より遥かに低かった場合はさっさと断らないとお互いにとって時間の無駄であるとさすがに学んだ。

4社目のオファーは、カナダのスタートアップから。話した感じみんな良い人だったし、フロントエンドがかなり重要なプロダクトで学べることが多そうで、希望する給料でオファーを貰えたのでもうここにしようとほぼほぼ決めていた。が、エンジニアのほとんどはバンクーバーにいて、週に2~3回、3時間は一緒に働けるようにしてほしいと言われていたので、そうなるとフランス時間で夜9時まで働くことになる。パンデミックの間はいいけど、元の生活が戻ってきたときにこの生活したいか?と考えると微妙で、でもとりあえず一年試してみて無理だったら辞めても良いんじゃないかと悩んでいた。

その悩んでいる間に受けて5社目のオファーになったのがベルリンのスタートアップ。私がやっている海外で働きたい/働いている女性&ノンバイナリー in techのコミュニティにいる、ベルリンのエンジニアのびさんから回してもらった求人。のびさん宛にリクルーティングエージェンシーがコンタクトを取っていて、転職活動中の私に興味がないか聞いてくれたのかきっかけ。求人内容を見ても仕事内容がよくわからなかったけど、話を聞くだけならとオッケーして、のびさんが私のCVをエージェンシーに送ってくれた。返事がしばらく来なかったので忘れていたけど、カナダとの会社の面接を進めている間に返事が来て、とりあえず話は聞こうと思ったけど、もうオファーをもらえそうだったので断る気だった。でも時差のことが気になっていたのと、これでオファーをもらえたらカナダの会社からもっと良いオファーをもらえるかも?と思って、もらっているオファーより良いオファーを出してくれるなら面接受けてもいいと言って面接を受けることになる。

すでに別の会社からオファーをもらっているので全部を一週間で済ますようにお願いして、ほぼ毎日インタビューを受けた。何よりプロダクトが魅力的で、全部のインタビューでD&Iについての議論をしたけど、ここなら安心して働けると思ったし、私が入ることでカルチャーも作っていけると感じた。あちこちで誤解があり最初に希望していた給料はもらえなくて、もらえると思って話を進めていた分がっかりしたけど、時差もないし、意味のあるミッションを持った会社だし、給料が高いことよりも楽しく働けることの方が大事だよと友達からアドバイスをもらったこともあって、ここのオファーを受けることにした。

が、ここで終わるはずだったのに、オファーから1ヶ月半経っても契約書が全然出来ない。いつまでも同じような質問を繰り返され、毎週もうすぐ契約書が出来ると言われ続け結局出来なくて、詳しくは書かないけどグダグダであれこれ不誠実な態度に会社を信じられなくなってしまい、この会社との話がなくなった場合に備えてプランBを探そうと思って見つけたのが、最終的に入社することにしたオンラインワークショップツールのButter

プロダクトは実際に使ってみてよく出来ているなと思ったのと、オンラインワークショップにメンターとして参加したときにzoomでワークショップ運営するのかなり難しいなと思ったのでこういうツールが必要な理由も理解出来たし、今まで経験したことのないフロントエンドでのチャレンジがたくさんあって勉強になりそうだったのが大きい。フルリモートの会社だけど契約書をすぐに準備してくれたので、ベルリンのスタートアップは断ってこちらに行くことにしました。

1社目にコンタクトしたのが1月末だったので、結局8ヶ月近くずっと仕事を探していて、2021年の思い出は転職活動で鬱になっていた日々がほとんどになってしまった。パンデミックの間はオフィスに行くのは強制じゃなかったけど、落ち着けばオフィスに週に何回かは戻らなくてはいけなくなるし、何もしてこないとわかっていてもハラスメントをしてきたエンジニアにオフィスで遭遇するのが本当に嫌だった(実際私が辞める次の週からパリの人はオフィスに戻ることが決まってる)。

絶対ここに行きたいと思って調べ尽くして超準備して面接でも好評価をもらっていたスタートアップに「やっぱりバックエンドエンジニアを先に雇いたいからごめんなさい」と断られたり、同じく好評価をもらっていたスタートアップに「実は予算的にあと2人しか雇えなくなっちゃって候補者5人いるから今じゃなくて次の資金調達のあとでも良いか考えてくれない?」と言われ、今が良いですと返事したらそのまま返事がこなくなったりして、スタートアップでの採用でよくあることだけど面接では高評価を受けて期待してしまっていたので精神的に辛かった。オファーをもらっても契約書の段階で上手くいかないことが複数回あったので、もうオファーをもらっても契約書にサインするまでは喜ばない期待しない、というかなり冷めた感じになってしまった。

エンジニアも4年目だと転職先を見つけるのは全然難しくない。実際6社からオファーをもらったし(特に誇るべきことではなく次回はもっと絞りたい)、選考の早い段階で辞退した会社も複数あったので、本当に選ばなければいくらでも仕事は見つかるけど、仕事は選びたいし、フランスで正社員として雇ってもらいたいし、フェアだと思えるパッケージをと思うとかなり難しかった。

最初の頃はかなり選んで応募してたけど、全然決まらなかったのでどんどん気分が落ち込んできて、とにかく早く会社を辞めたかったし、数打てば当たるだろうかとスタートアップ以外の会社にも気軽な気持ちでとりあえず応募するようになった。絶対通らないと思ったところからも返事が来たりしたけど、話してみると違うなと思うことが多くて、改めて私が働きたいのはスタートアップだなと思うようになる。転職したい理由のストーリーが大企業だと合わない。

Sqreenでエンジニアは全員プロダクトエンジニアでいることが求められ、技術にしか興味がないタイプのエンジニアは採用していなかったし、どうしてこの機能を作るのか理解して、その上でどうやってより良いものを作れるかみんなで議論する環境で楽しかった。スタートアップなので全員がmultiple hatsを被っており、プロジェクトマネージャーがいないのでエンジニアが順番にプロジェクトを回す担当になったり、サポートもエンジニアが順番で担当していた。私はみんなが安心して働ける場所作りを意識していて、ミーティング中に一言も喋っていない人がいたらもっと小さい人数で喋りやすくなるような環境を作ったり、前提の共有が不足しているかもしれないからマネージャーやプロダクトマネージャーにフォローアップをお願いしたり、みんなにbelonging感があってincludeされていると思えるチーム作りを目指していた。プロダクト、デザイナー、エンジニアがどうやって一緒に上手く働いていけるか、プロセスを常に見直して改善しまくっていくことが楽しくて、そういうのが出来る環境はやっぱりスタートアップなので戻りたい、みたいな話が受けそうな会社を選んで受けていたので、どこでもかなり好評価だったと思う。

書類で落ちた会社もたくさんある。でも面接に進めば技術テストではもう落ちなかったし、自分をピッチするのもどんどん上手くなっていった。ただし私のやりたいことは自分のピッチではなくプロダクトを作ることなので同じ話を何度もするのに疲れた。

とか色々書いてきたけど、やっぱりエンジニアは本当に恵まれているなと思います。こんなに仕事を選べて、やってみて合わなくてもまた別の仕事を見つければいいやと思えるのは需要がある職種の特権だなと思う。

技術的にはまだまだ学ぶべきことがたくさんあるけど、ソフトスキルと言われる部分にはめちゃくちゃ自信がある。チームとしての働き方、みんなが安心して意見を言える環境作り、上手く回ってない部分を率先して改善していく姿勢。Sqreenでずっと実践してきたことなので具体例はいくらでも上げられる。

シニアエンジニアの定義は会社によって違うだろうけど、やっぱりまだシニアエンジニアを募集している会社には通らなくて、でもあと数年修行を積めばシニア枠でも採用されるだろうし、また頑張っていきたいです。フランスの会社からはたくさん声が掛かるけど、リモートで採用している会社から声が掛かることはあまりなくて、そりゃ採用対象者が広すぎて私にまで行き着くことないだろうし、エンジニアとしてのオンラインプレゼンスを上げて、相手から声を掛けてもらえるようにしたいなと思った。

求人はLinkedIn, AngelList, We Work Remotely、あとは一度キャリア相談をお願いしてから友達になり、私の相談をずっと聞いてくれているJessがベンチャーキャピタルで働いている女性を紹介してくれて、その会社に繋げてもらったのが会社の一つがオファーをもらったカナダの会社でした。ベルリンのスタートアップもコミュニティにいる人から紹介してもらえたし、初めてコネクションの大切さを感じた転職活動だった。

8ヶ月ずっと私の相談に乗ってくれて愚痴を聞いてくれたコミュニティの皆さんには本当に感謝しかないです。海外で働いている日本人エンジニア友達がいることの心強さよ。

Butter、私の技術スキルは求めていたレベルよりシニアじゃなかったけど、頭良さそうだし学習意欲高そうなのでと技術スキル以外の面で高評価してもらってのポテンシャル採用だったので、試用期間でクビにならないよう頑張って勉強します。皆さん楽しいのでButter使ってみてね!

© Copyright 2020-2021 Yuka Masuda